マルファン症候群とは・・・
遺伝子の異常によって細胞の間を埋める結合組織が脆弱になることで起こる様々な疾患です。
第16代アメリカ合衆国大統領であるエイブラハム・リンカーンがマルファン症候群であったことは非常に有名です。
マルファン症候群は遺伝性疾患
マルファン症候群は常染色体優性遺伝疾患です。
常染色体優性遺伝ってなに?🙄🙄
私たちが親からもらった遺伝子はペアですが、その遺伝子の一方が特徴が出やすい遺伝子(優性)があり、その遺伝子に何らかの変化(遺伝子変異といいます)があれば症状が出ます。その遺伝子が変異していると通常と違ったタンパク質が作られるためです。
東京女子医科大学遺伝子医療センターゲノム診療科ホームページより引用
特徴を述べますと、
・50%(1/2)の確率で病気に関係する遺伝子が伝わります。
・男女差はありません。
・病気もしくはその病気の原因となる遺伝子の変異は世代ごとに発現します。
東京女子医科大学遺伝子医療センターゲノム診療科ホームページより引用
日本には約20,000人のマルファン症候群の患者さんがいると言われており、75%は親から遺伝して発症しています。
両親のどちらもマルファン症候群でない突然変異による発症が25%を占めています。
私の母親は、おそらく突然変異による発症です。
母親の両親はどちらもマルファン症候群の特徴である高身長や血管疾患はありませんでした。
私は母親からの遺伝でマルファン症候群になりました。といっても、自分がマルファン症候群だと知ったのは、母親が大動脈解離で亡くなった2年後。
母親の場合は大動脈解離を発症したのが、49歳とそれなりに歳を重ねてからでした。母親はたばこを吸っていたり、不規則な食事をしていたり、仕事のストレスを抱えていたりしたので、マルファン症候群と診断されることなく、亡くなりました。
もしも、母親がマルファン症候群を診断されていたら、子供たちである私たちはそれなりの対応ができたのではないかと思っています。
私も所属している日本マルファン協会の理念が大好きです。
「情報は命を救う」
「情報は生きる支え」
知っているだけで助かる命がある。
マルファン症候群について詳しく知りたい方は、日本マルファン協会のホームページを覗いてみてくださいね。
マルファン症候群の特徴と主な病気
・高身長
・側弯、漏斗胸等の骨格変異
・大動脈瘤や大動脈解離
・水晶体亜脱臼
・自然気胸 etc・・・
私の場合は高身長、大動脈解離、自然気胸が当てはまっています。
高身長は182㎝なので、ものすごく長身というわけではありません。
ただ、兄弟2人の身長が170㎝前後なので、兄弟の中では頭ひとつ飛び出ています。
大動脈解離は29歳で発症しました。
自然気胸は17歳の時に発症して、手術もしています。
いま働いている病院で手術してもらいました。縁って不思議ですね😮
側弯や漏斗胸(前胸部が陥没する病気)はありません。
水晶体亜脱臼も眼科を受診して調べてもらいましたが、ありませんでした。
マルファン症候群だからといって、すべての特徴や病気が出現するわけではない
マルファン症候群の寿命
大動脈解離などの心血管系の合併症によって予後が左右されるため、詳細な予後は分かっていません。
ただ、突然死のリスクがある心血管系の合併症をうまくコントロールして、適切な時期に適切な対応(手術)ができれば予後は比較的よいと言われているようです。
「Pubmed」という海外の医学論文が閲覧できるサイトで検索してみましたが、マルファン症候群の予後や生存率に関する情報は見当たりませんでした。
大動脈解離などの心血管系の合併症の予防として、日本循環器/日本心臓血管外科学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会合同ガイドラインである「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン」でマルファン症候群の内科治療について記載がありましたのでご紹介しております。
一般社団法人日本循環器学会 循環器ガイドラインシリーズ 2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドラインより引用
大動脈径拡大の予防のために、ベータ遮断薬(カルベジロールやビソプロロールなど)やARB(ロサルタンやイルベサルタン)の服用が推奨されています。
下記のURLから閲覧可能ですので、興味のある方は見てみてくださいね。
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/07/JCS2020_Ogino.pdf
(医療用語がたくさん並んでいて、読みにくいと思いますが、143ページにマルファン症候群の内科治療について記載があります。)
まとめ
マルファン症候群についてまとめてみました。
私は大動脈解離を発症し、3回の手術を行いましたが、本当に幸運なことに今でもこうやって生きることができています。
「情報は命を救う」
少しでも多くの方が、マルファン症候群という病気を知り、幸せな人生が送れることを祈っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました♪