前編を読んでいないという方はまずはこちらから読んでね↓↓
・手術件数が全然違う
・脊髄栄養動脈の同定ができたこと
・国循に勤める知人医師の勧め
結果的に、手術は成功し、大動脈は全て人工血管になりました。
ひとつずつ解説していきますね。
手術件数が全然違う
私が働いている病院は地方の急性期病院。入院の受け入れ可能人数が700人前後なので、それなりに大きな病院です。
心臓の手術は年間100件ほど。そのうち、大動脈疾患の手術は緊急手術を含めて20~30件。
地方病院としては多くもないし、少なくもないと言える数だと思います。
一方で、国立循環器病研究センターの手術件数は以下の通り。
すごくないですか!!
胸部大動脈の手術だけで、200件ほど!!腹部大動脈も合わせると約400件😲😲😲
私が働いている病院の約10倍です。
胸腹部大動脈瘤の手術は手術侵襲が大きく、リスクも高く、私が働いている病院ではほとんど行われていません。1年に1件の手術があるかないか・・・
病院(先生)によって、得意分野があるので、難しい手術や珍しい手術は専門の病院に頼んだ方が良いと思いました。
脊髄栄養動脈の同定ができたこと
胸腹部大動脈瘤の手術で起こりうる特徴的で最も重篤な合併症は下半身麻痺(対麻痺)だと思います。
人が手足を動かすことができるのは、簡単に言ってしまうと手足に神経が通っていて、脳からの指令が届くからです。
脳から指令は脊髄を通って、手足の神経に届くわけですが、中継地点である脊髄は血液から栄養を受けることで働くことができています。
これはどの臓器でも同じです。
この脊髄に血液をおくる動脈(前脊髄動脈、正確にはアダムキュービッツ動脈)が脊髄栄養動脈として非常に大切になり、下半身不随(対麻痺)の原因となる血管です。
なぜ、胸腹部大動脈瘤の手術の際に、下半身不随(対麻痺)になる可能性があるのかについては、説明すると長くなるので割愛します。
簡単に言ってしまうと、脊髄への血流が不十分になり、脊髄がうまく働かなくなるからです。
つまり、手術の際に脊髄への血流をいかに保つことができるかということが、下半身不随(対麻痺)の発生を防ぐことに繋がります。
手術の際に脊髄への血流をいかに保つことができるかという点については、様々な方法がとられています。これについてもかなり専門的になるので、ここでは述べません。
手術する前に唯一できることは、さきほど述べた脊髄栄養動脈を同定することです。
日本で行われた多施設共同研究では,術前同定されたAdamkiewicz動脈(脊髄栄養動脈)の温存・再建はSCI(脊髄虚血=下半身不随)発生率を低下させると結論されている。
2020年版改訂版大動脈瘤・大動脈解離ガイドラインより引用
私の働いている病院の術前CT検査では脊髄栄養動脈の同定はできませんでした。
脊髄栄養動脈の同定は装置の性能に大きな影響を受けるとのことであり、私が働いている病院のCT装置では難しかったようです。
国立循環器病研究センターでの術前CT検査では脊髄栄養動脈の同定が行えました。
さすが、国循ですね・・・
国循に勤める知人医師の勧め
知人医師は私が働いている病院で循環器内科医として働いており、心臓リハビリに興味を持ってくれていたので、よく話をする間柄でした。
そんな知人医師は2014年から国循で働くことになり、手術についても相談させてもらっていました。
悩んでいる私に知人医師が言った一言。
もう、なんか衝撃的というか😲😲😲
実際に働いている医師がそこまで言うのだから・・・
国循ってそんなにすごいのか・・・
すぐに決心したことを覚えています‼
その知人医師は入院中も顔を出してくれたり、差し入れをしてくれたり、本当に助けていただきました`(*>﹏<*)′
まとめ
私は、国立循環器病研究センターで手術をして、下半身不随にならず、無事に生還することができました。
地方の急性期病院と国立の循環器専門病院では、やはり違いがあるようです。
ただし、国循だから絶対安心というわけではありません。
手術にはリスクがつきものです。
自分の身体、自分の人生を預けるわけですから、病院選びは慎重に行ってくださいね。
少しでもみなさんのお力になれたら、嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。